頭髪と汗

本格的に暑い季節になってきました。

よく患者さんから「私は汗っかきだから薄毛なんでしょうか？」と聞かれることがあります。答えは「No」と言ってよいと思います。「No!」と断言できないのは、汗が酸化すると頭皮の炎症の原因になりえるからです。

汗の成分は、塩化ナトリウム・窒素酸化物・乳酸・カリウム・尿素・アンモニア・糖類などを含んだ水で構成されています。汗は、汗腺といわれる皮膚の小さな穴から放出されますが、その汗腺の種類(エクリン腺とアポクリン腺）によっても成分が異なります。エクリン腺とは、皮膚全体にあり体温調整や皮膚の乾燥防止の働きをします。アポクリン腺は、脇の下など特定の部分にしかなく、その成分には、タンパク質や脂質が含まれていて微生物に分解されると悪臭を発します。これがいわゆる「体臭」や「加齢臭」と言われるにおいの原因となります。

女性に比べ、男性の方が頭皮の皮脂が多い分、汗の中に含まれる酸化酵素が頭皮を酸化させ、炎症を起こすことがあるのです。とはいえ、通常は１-２日に１度くらいは洗髪するでしょうから問題になることは殆どありません。

暑い季節、頭皮も汗をかきますが、正しい洗髪の仕方で清潔に保てば脱毛の原因になることはありません。ヘルメットや帽子をかぶっている方も同様です。それが原因で薄毛になることはありませんので、心配は要りません。